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店長日記

法を守り、市民を護ってきた軍用・警察用  .38口径ダブルアクションリボルバたち その①

過去に発表している記事を加筆修正し、再発表します。

◆   ◆   ◆ 

Report by Ken NOZAWA

優位性を求めて誕生したリボルバ
世界で愛用されてきたその理由とは


 過去において、本・実銃シリーズでは軍用として採用された名銃を紹介してきた。半自動ピストル、サブマシンガン、アサルトライフル。そしてバトルライフルも軽機関銃も数種を解説してきたが、そんな中、採り上げてこなかった機種にリボルバがある。
 「軍用拳銃にリボルバ・・・?」
 そんな疑問を持つミリタリーファン、ガンファンも居ると思われる。軍用のサイドアームスといえば半自動ピストルという常識があり、そこにはリボルバが入り込む余地はない。確かに今日の世界各軍を見渡すと、リボルバを制式採用している国は皆無だ。もちろん、特別な場合において、もしくは少数の国で採用している可能性はあるが、少なくとも主要国では無い。それは法執行機関でも同じで、アメリカでは1970年代まではポリス用ハンドガンといえばリボルバが主流であったが、1980年代の中ごろには多くの州、警察署で半自動ピストルの採用がなされている。
 以上のような現実はあるが、時代を遡ると、リボルバが軍用拳銃として活用されてきたことも事実である。
 現在では姿を見ることが無くなった軍用、そして法執行機関でのリボルバには、どんな機種があったのか? また、なぜ、軍、法執行機関でのリボルバの地位は失墜し、半自動ピストルに取って代わられたのか? 何となく分かる気もするが、明確な理由までは分からない・・・といった声もあると思われる。そこで今回はマイナーとなってしまった軍用リボルバ、法執行機関用リボルバとはどんな存在であったのかを見ていきたい。
 過去には活躍していたリボルバが、気がつけば見かけなくなってしまった裏には明確、明瞭なる理由があるはずである。
 そこでここでは、最初にその辺の事情、理由と、過去に主要各国で採用されてきたリボルバの紹介から始めてみたい

◆ ◆ ◆

 銃器の発展を振り返ると、初期の物は単発式の仕様であった。そこは火縄銃を連想してもらえば理解しやすい。銃口から火薬をつめ、弾丸をつめ、火縄を使って点火・激発を誘導し弾丸を発射するという仕組みである。そして一発を発射した後、再び火薬をつめ、弾丸をつめ、そして激発・・・というサイクルになる。
 火縄銃は扱い慣れると1分間に4発(回)の弾丸発射が可能というが、平均的には2発、もしくは3発が精一杯で、連射性に富んでいるとは言いがたい。日本の戦国時代において、“火縄銃は一発あたりの威力は十分だが、実戦においては扱い難い”という認識であったようである。
 そうなると必然、連射性を求める声が挙がる。必要は発明の母である。
 結果として連射性を高めた仕様の鉄砲が開発された。回転式の弾倉を有した、つまりは“シリンダー”を有したリボルバが誕生することとなった。
 “リボルバ”と聞くと、アメリカのサミュエル・コルトが開発したコルトパターソンモデル1836を思い浮かべるガンファンも居るはずだが、回転式弾倉を持った銃(小銃)は1500年代には存在していた。コルトパターソンモデル1836が発明される300年も前に“リボルバ”は在ったことになる。
 ここで話を軍用、法執行機関用リボルバに移そう。
 1800年代。軍用拳銃はリボルバが主流であった。それは世界各国が同様であった。
 まだまだシングルショットやダブルショットが幅を利かせていた時代に“6連発”のリボルバは多弾数で火力・攻撃力もあり、軍用には最適で、「軍用=リボルバ」という時代であった。
 だが、その常識は1900年前後に崩れることとなる。1884年に無煙火薬が発明されると半自動ピストルの開発が進んだのだ。
 初期の半自動ピストルとして、マウザーミリタリー(C96)、M1911、ルガーP1900などが挙げられるが、それら歴史的な傑作の完成裏には「無煙火薬」の存在があった。無煙火薬は少量でも黒色火薬に勝る性能を発揮し、煙だけでなく燃えカスもほとんど発生せず、作動部分の多い半自動ピストルには最適の火薬となったのだ。もちろんライフル弾の性能を高めることにも大きく貢献し、1900年前後に軍用火器は急激に発展・向上している。
 半自動ピストルの開発が進むと、世界各国の軍はリボルバからの乗換えを行った。リボルバを捨て半自動ピストルを選んだ。その最大理由は軍の火力・攻撃力のアップである。
 これは過去にも何度か触れているが、軍の火力・攻撃力とは、一定時間に発射される弾数に比例するという関係がある。例えば、ある軍が1分間に1万発の弾丸を発射するとき、それは5千発の弾丸を発射する別の軍に対し、2倍の火力・攻撃力を持つと言えるのだ。
 リボルバの場合、その連射性は1秒間に1発程度である。もちろん、単純に連射のみを追及すれば1秒間に2発でも3発でも発射できるが、的を狙い撃つとなれば1秒間に1発がせいぜいである。現実的には“狙い撃つ”を成すには3秒間に1発でも難しいが、ここでは1秒間に1発で話を進めたい。また、機能や仕様にもよるが多くのリボルバは6連発で、6発を放った後に再装填して射撃を開始するのに10秒を要する。つまりは、1分間での発射弾数は24発になる。1秒間に1発の連射でも1分間での総発射弾数は24発である。では同じことを半自動ピストルで行えばどうか? 現在の多くの半自動ピストルは15連発である。そして15発を撃ち尽くし、マガジンを交換して次の射撃に移るのに要する時間は5秒である。つまりは、半自動ピストルであれば1分間に45発を放てることになる。
 24発Vs.45発。
 仮に半自動ピストルの装弾数が8発として計算しても、1分間での発射総弾数は32発である。
 軍対軍(群対群)の戦いは確率戦になる。遠距離からの撃ち合いは確率戦になる。であるならば単位時間当たりの発射弾数の差は、そのまま火力・戦力差になるのだ。
 世界の各軍がリボルバから半自動ピストルへと移ったのは自然の理で、それは総合戦力を高める上での基本戦略だからである。
 ここで一つ、反論、異論もあると思う。
 「単位時間当たりの発射弾数は半自動ピストルの方が高いが、作動不良の発生はどうするのか?」という異論、反論である。
 その論は正しく、半自動ピストルに作動不良は付き物で、必ず発生する。実戦の場においても発生する。その発生確率だが米軍での資料によると、規定の半分ほどの射撃しか行えなかった者は4%で、半分以下は2%というデータがある。
 つまりは、100人のリボルバ軍と100人の半自動ピストル軍とが戦ったとき、各軍が1分間に発射できる弾数はそれぞれ、2400発と4350発である。半自動ピストルの装弾数が8発の場合で3088発である。
 データ上からも半自動ピストルの火力・攻撃力はリボルバを明確に上回り、軍とすれば“正しい選択”として半自動ピストルを選ぶことになる。そのため1940年ころには、世界の大多数の国で半自動ピストルを採用している。
 次に法執行機関に関してだが、こちらは少し事情が異なる。
 ここでは米国のポリスを例に話を進めるが、彼らにとってサイドアームスといえばリボルバという時代が長く続いた。1950年代は言うに及ばず、60年代、そして70年代もリボルバが主力であった。その流れに変化が始まったのは1970年代の終わりからで、1980年代に入ると急速に半自動ピストルの採用が進み、80年代の中ごろには多くの警察署が半自動ピストルへと置き換えていき、さらに1990年代ではポリスの腰にリボルバは見かけなくなった。
 軍に遅れること50年。しかし確実にリボルバは姿を消した。
 さて。
 1980年代に入り、法執行機関において、特にポリスオフィサーたちの間でリボルバから半自動ピストルへと移行したのにはいくつかの理由がある。
●半自動ピストルの信頼性が上がった
●半自動ピストルに安価なものが登場した
●小型・軽量の銃器が求められた
●都市部での犯罪の増加と犯罪者の武力強化

 信頼性だが、これは特に作動の安定性が上がったことと、ダブルアクション仕様の一般化がある。1960年代、そして70年代は、半自動ピストルの作動性に不安を持つ者は多く、それは法執行機関の間でも同じだった。手入れを十分に行っていても作動不良はどこかで発生する。その不安がリボルバを手放せない理由の最初に挙がった。
 作動不良に関し、その原因は複数に渡るが、手入れ不足と実包が問題となることは多い。逆に言えば、手入れをしっかりと行い、信頼できる実包を使うことで作動の安定性は担保されるのだ。もちろん銃自体の素材や基本設計の確かさも時代とともに高められ、結果的に作動不良は劇的に減らせることとなったのだ。
 また、ダブルアクション仕様の一般化は、その操作感をリボルバと同じにすることができた。リボルバの利点の一つはホルスタから抜き出し、トリガーを引けば弾丸を発射できるという機能である。当たり前に聞こえるが、常に安全に携帯できながら、必要なときには単純明快に弾丸を発射できるという機能は極めて重要である。1970年代ころから開発された多くの半自動ピストルは、その、安全性の確保と単純な操作性を両立できたことになる。好例はSIG P220番台の各モデルやベレッタ92シリーズである。
 価格だが、これには新規開発ピストルの影響が大きい。
 1982年。オーストリア連邦警察が新型半自動ピストルのグロック17を採用すると、1983年以降、オーストリア全土の警察署がそれに続くこととなった。さらにはオーストリア軍でもグロック17(名称:Pi80)を採用している。アメリカでは1985年から販売が開始され、当初こそポリマー樹脂を用いたフレイムやトリガーに組み込まれたセイフティを否定的に捉える声もあったものの、時間の経過とともに実力と信頼性の高さが認められると、他の半自動ピストルと比べ安価であり、それはリボルバと比べても安価であり、予算の面での優位性もあったことから公的機関での採用に繋がることとなった。
 小型・軽量に関しては、これは説明の必要も無いが、装備品は小型・軽量であるほど利便性が高く、半自動ピストルはリボルバと比べ薄く、小さく、そして軽いため、それを携帯する者の負担を小さくできる。グロック17の重量は700gほどで、S&W M19の4インチモデルのそれは1000gになる。
 装弾数の差も含め、半自動ピストルはリボルバと比べ火器として、銃器として優れていると言える。また、州によってはマグナム弾の使用を禁止しているところもあり、そうなると装弾数の多さは大きなアドバンテージとなり、さらに同程度の性能であるなら小さく軽いほど優位という原理原則に従うならば、半自動ピストルの方が明らかに上位なのだ。
 犯罪者の武力強化とその対策はイタチゴッコでもある。有名なところでは1920年代にギャングたちがサブマシンガンと車を活用しての抗争、銀行・郵便局強盗を繰り返したことがポリスの銃器強化を進め、.357マグナム弾も誕生している。そして、リボルバと比べ装弾数の多い半自動ピストルが求められていった。

 ここで別の角度から、法執行機関で、ポリスたちの間でリボルバから半自動ピストルへの移行が軍よりも遅れた理由にも触れると、それは両者間での火器の使用目的、戦術の違いが関係している。
 軍での戦い、戦闘は基本、「群Vs.群」である。10人対10人、100人対100人、1000人対1000人と、団体と団体の戦いが常である。
 対してポリスオフィサーたちの現場は「個Vs.個」が多い。1人対1人。せいぜい2人対1人である。しかも対峙する敵との距離は10m以内、いや7ヤード(約6.3m)以内が多く、そうなると火器・銃器に求められる性能は多弾数よりも作動の確かさと弾丸のパワーとなる。7ヤード以内での撃ち合いであるからして、ポリスと犯人のどちらが最初の一撃を食らわせられるかが勝敗を決する。10発、20発と放って確率での被弾数をカウントするのではなく、最初の1発、もしくは2発で勝負は決まるのだ。多くても3発目には結果がでる。
 つまりはポリス用の拳銃は、引き鉄を引けば確実に弾丸が発射され、多くの装弾数は必要が無く、6連発であれば十分で、それよりも放たれる弾丸の威力、ストッピングパワーの高さが重要だと分かる。
 リボルバであれば.357マグナム弾が選択できる。マグナム弾を禁止している州でもプラスP弾(.38スペシャル弾と.357マグナム弾の中間の威力)は使用でき、さらには弾頭にソフトポイントやホローポイントといった“ダムダム弾”も問題なく使えるのだ。
 それらの実状、現状を鑑みると、ポリス用拳銃には半自動ピストルよりもリボルバの方が適していたと見えてくる。
 ただ、そういった理由はあるも、半自動ピストルの信頼性が高まり、安価で携帯も容易となると、時代の流れと共にポリスたちの主力火器も半自動ピストルへと移行していくこととなった。
 つまりは、軍は軍なりの判断によってリボルバから半自動ピストルへと移りかわり、ポリスはポリスたちの現場、実状から半自動ピストルを選んだと知れる。
 リボルバの登場時、それはシングルショットやダブルショット機構の銃器に対しての優位性が歓迎され愛され、求められたが、時代の変化と実戦の場が要求する機能や仕様といったリアルな問題解決のため、半自動ピストルが時代の中心へと位置したのである。
 最後に、主要国が過去に軍用として採用してきたリボルバを紹介したい。
◆イギリス軍採用のリボルバ
 イギリス軍が採用したリボルバではエンフィールド・リボルバとウェブリー・リボルバが広く知られているが、ここでは長年使われてきたウェブリー・リボルバから話を進めたい。
 ウェブリー・リボルバはウェブリー&スコット社(=The Webley & Scott Revolver and Arms Company Ltd)の製造となるが、その歴史はざっと以下のようなものである。
●1790年代にイギリスのバーミンガムで創業。1834年にフィリップ・ウェブリーが経営を引き継ぎ、狩猟用銃の生産を開始
●1853年。最初のパーカッションリボルバ「ウェブリー ロングスパー」を製造
●1897年。W&C スコットアンド サンズ社と合併し、社名を「The Webley & Scott Revolver and Arms Company Ltd」に変更
●1887年。ウェブリーのリボルバがイギリス軍の制式採用となり、1964年まで使用される
●1921年以降は政府系のエンフィールド工場でウェブリー・リボルバを製造
●1932年。エンフィールド No.2 リボルバが制式採用となるが、第二次世界大戦中は弾薬不足のため、古いウェブリー・リボルバも併用
●1979年。銃器製造から撤退

 一般的にウェブリー・リボルバというと1887年から1964年までイギリス軍が採用していた6種類のリボルバを指すことが多い。6種類とは、Mk IからMk Ⅵまでの各機種である。またウェブリー・リボルバと聞くとブレイクアクション方式を思い浮かべるガンファンは多いと思われるが、S&W モデルⅢスコフィールドが発表されたのは1875年のことであり、それを参考に開発を進めたはずである。素早い排莢は火力・攻撃力を高めることに直結するというメリットがあるも、強力な実包は扱い難いというデメリットもある。
 ウェブリー・リボルバMk VIのスペックは次の通りだ。
全長:286 mm
重量:1.1 kg
銃身長:106 mm
口径:.455ウェブリーMk II弾 / .45ACP弾
作動方式:シングル・ダブルアクション
装弾数:6連

 6種類のウェブリー・リボルバの違いと仕様は下記のとおりだ。
●Mk I 。1887年11月8日に採用された最初期のモデル。4インチ銃身と「鳥のクチバシ」と呼ばれるグリップ仕様。
●Mk II 。1895年5月21日に採用されたモデル。Mk Iからグリップやハンマーの形状が変更され、焼入鋼のブラストシールドが追加された。
●Mk III 。1897年10月5日に採用されたモデル。シリンダーのカム部に改良が加えられた。多くは海軍に支給。
●Mk IV 。1899年7月21日に採用されたモデル。「ボーア戦争モデル」と通称される。高い強度を確保し、シリンダー軸の固定部などの形状が変更され、ブラストシールドも再設計。
●Mk V 。1913年12月9日に採用されたモデル。Mk IVと大差はないが無煙火薬弾を使用するためにシリンダーの幅が拡張された。1915年には5インチおよび6インチ銃身モデルも設計された。
●Mk VI 。1915年5月24日に採用されたモデル。Mk Vと大差はないがグリップがターゲット型に変更。標準的に6インチの銃身となる。

 ウェブリー・リボルバと合わせイギリス軍が採用していたエンフィールド・リボルバについても簡単に触れると、エンフィールド・リボルバは、第二次世界大戦中にイギリスで開発・採用された中折れ式回転式拳銃だ。これは第二次世界大戦中、アメリカから供給されるS&Wビクトリー・モデルに依存していたイギリス軍が、供給の不安定さから国産の軍用拳銃の必要性を高めての開発であった。ウェブリー・リボルバを参考に中折れ式回転式拳銃となったが、S&WモデルⅢの構造も踏襲している。
 エンフィールド・リボルバの開発ではS&Wビクトリー・モデルと弾薬の互換性を確保して.38S&Wとして完成された。それがエンフィールド・リボルバNo.2 Mk.Iだ。No. 2 Mk. Iは1942年に採用され、主に後方勤務の兵士や工場警備員などに配備された。後に改良型の No. 2 Mk. II、No. 4 Mk. Iも開発されている。そして1945年の戦争終結に伴い、軍需縮小により生産は中止された。
 長年リボルバを愛用してきたイギリス軍だが、そこにはリボルバ用実包の在庫が大量に残っていたという裏事情がある。そのイギリス軍も1964年以降は軍用ピストルとしてブローニング・ハイパワーを採用している。

◆イタリア軍採用のリボルバ
 イタリアと聞くとベレッタを連想してしまうが、やはり過去にはリボルバを軍用拳銃として採用している。
 イタリア軍が最初に採用したリボルバはグリセンティ M1861(= Glisenti M1861)とされており、イタリアの銃器メーカー、グリセンティ社のフィリッポ・グリセンティによって設計され、1861年に開発されたリボルバだ。グリセンティ社は19世紀中頃にイタリアで創業し、リボルバを中心に様々な種類の銃器を製造しており、イタリア統一後、新国家の軍隊に納入する機会を得て大きく発展した歴史を持つ。グリセンティ社は特にリボルバ製造に力を入れており、グリセンティ M1861はイタリア軍に最初に採用されたことで、その名を高めている。
 グリセンティ M1861はシリンダーがフレイムから完全に取り外せる構造の.36口径パーカッション式リボルバだが、イタリア軍での採用の決め手の一つが「国産品」であり、機能も性能も当時の水準を満たしており、低コストであったことも評価を高めたという。
 グリセンティM1861はイタリア初の国産拳銃として統一戦争で広く使用されたが、その後、より近代的な拳銃の必要性が高まり、ボデオ M1889(= Pistola a Rotazione, Sistema Bodeo, Modello 1889)が開発されることとなった。
 ボデオ M1889はグリセンティM1861よりも使いやすく、かつ安全対策も練られており、1891年にイタリア軍に採用されている。ちなみに「ボデオ」の名称だがイタリア銃器委員会の責任者カルロ・ボデオの名にちなんで命名されており、1889年から1931年にかけイタリアとスペインの様々な製造業者によって生産されている。ボデオ M1889は第一次世界大戦、イタリア植民地戦争、第二次世界大戦時に補助火器としてイタリア陸軍で使用されている。
 ボデオM1889 の後継となるのがグリセンティ M1910 半自動ピストルであり、さらにその次に採用となるのはベレッタM1934であった。
 ボデオM1889のスペックは次の通りだ。
全長:232 mm
重量:950g
銃身長:115 mm
口径:10.35×20mm Ordinanza Italiana弾
作動方式:シングルアクション
装弾数:6連
※) 10.35×20mm Ordinanza Italiana弾はソシエタ・シデルルジカ・グリセンティ社が設計した、シャメロット・デルヴィーニュ・モデル1874用として開発された弾薬。

◆ドイツ軍採用のリボルバ
 ドイツ軍が採用していたリボルバといえばM1879ライヒスリボルバ(=M1879 Reichsrevolver:別名・Reichs-Commissions-Revolver Model 1879)が有名で、これはベルギーのナーガンM1869 を参考に設計されている。
 M1879 ライヒスリボルバの開発者はルードルフ・アミエルン (=Ludwig C. Aemler:1836年3月29日-1906年1月27日)だ。彼はドイツの銃器メーカーであるラインメタル社の技術者であった。製造はベルリンのケーニヒリヘ・ゲヴェーアファブリック(=Königliche Gewehrfabrik:王立銃器工場)で行われている。
 M1879ライヒスリボルバはシングルアクション仕様の6連発のリボルバである。薬莢排出の機能が無く、排莢はロッドを差し込んで行われる。
 M1879 ライヒスリボルバのスペックは次のとおりだ。
全長:310mm
重量:1040g
銃身長:180mm
口径:10.6mm×25mmR弾
作動方式:シングルアクション
装弾数:6発
※)10.6mm×25mmR弾はM1879 ライヒスリボルバのために専用に設計された実包で、スミス&ウエッソンがロシア帝国軍のために開発した.44 ロシアンカートリッジの影響を受けているか、またはそこから発展した仕様と考えられる。

 ここで余談となるが、M1879 ライヒスリボルバの元となったナーガンM1869 はベルギーのエミール・ナーガンによって開発された回転式拳銃であり、エミール・ナーガン(Émile Nagant:1830年2月26日 - 1895年11月20日)は生涯に多くの銃器を設計している。エミール・ナーガンはベルギーのワロン地方に位置するリエージュで生まれたが、その地方はフランス語が主に使用される地域のためナーガンはフランス語の名前を持つ。Émile Nagantをカタカナ表記すると「エミール・ナーガン」となる。日本では「エミール・ナガン」もしくは「エミール・ナガント」と表記されることが多いため、そちらの方が聞き馴染みがあるガンファンと思われる。また日本ではナーガン・リボルバと言えば「ナーガンM1895」が有名だが、それは1890年代初期にナーガン兄弟(兄:エミール・ナーガンと弟:レオン・ナーガン)によって開発された回転式拳銃である。M1895という名称はロシア政府が採用した年が1895年であったことに由来している。M1895リボルバは独自の7.62x38mmナーガン弾を使用し装弾数は7発である。発射時にはシリンダーが前進しバレルとシリンダーの隙間を閉じてギャップからのガス漏れを防ぐといった珍しい機構を備えている。
 M1879ライヒスリボルバは第一次世界大戦および、その他の紛争で使用され、ドイツ帝国軍に加えプロイセン警察(ドイツ北東部に存在していた王国)でも使用されていた。
 M1879ライヒスリボルバの後継機種として、ルガーP08が採用されている。
◆フランス軍採用のリボルバ
 フランス軍が初めて採用した回転式拳銃は1853年のシャメル・デルヴーシュ・リボルバ(= Chamer Delvoux Revolver)とされている。
 シャメル・デルヴーシュ・リボルバはフランス国産のモデルということもあり採用されたが信頼性に問題を抱えており、短命に終わったようだ。というのも、当時の他のリボルバと比較して複雑な構造を持っており、生産性が低い上に部品の摩耗・消耗が目に付き、故障も頻繁に発生していたというのだ。そこに使われていた材料品質が十分ではなかった可能性もあり、発射機構に関わる部品の強度不足も問題の原因と考えられている。
 そのためフランス軍はMAS M1873リボルバへの切り替えを進めた。
 MAS M1873リボルバはシンプルな構造と信頼性を両立させ、長く使用されることとなった。そのため、1873年に採用されたMAS M1873リボルバは、フランス軍にとって2番目の制式採用回転式拳銃となる。
 ここで「MAS」だが、これはManufacture d'Armes de Saint-Étienneの略で、「サン・テティエンヌ造兵廠」の意味で、1778年にフランス南東部の都市サン・テティエンヌに設立された国営の武器工場だ。つまりはMAS M1873は、サン・テティエンヌ造兵廠で製造されたM1873を示している。
 そのMAS M1873リボルバはフランス軍初のダブルアクション式リボルバで.450 M1873弾を使用し、第一次世界大戦はもちろん、第二次世界大戦でも補助火器として使用されている。1873年から1887年までに約34万梃が生産された。
 MAS M1873リボルバのスペックは下記のとおりだ。
全長: 240mm
重量: 1080g
銃身長: 110mm
口径: 11mm Mle 1873弾
作動方式:シングル・ダブルアクション
装弾数: 6発
※)11mm Mle 1873弾だが、19世紀後半にフランスで使用されていたピストル実包で、黒色火薬が使用され、パワーは.45ACP弾と同程度である。

 そのMAS 1873リボルバの後継として製造されたのがM1892リボルバであり、第一次世界大戦中、フランス軍将校の標準装備として活用されている。
 M1892リボルバは1893年に最初に配備され、当初は将校の携行火器として設計されたが1892年から1924年までの間に35万挺以上が製造され、フランス陸軍、海軍、憲兵隊をはじめ、様々な組織に配備され、1960年代半ばまでフランス警察でも使用されていた。堅牢で仕上げの良い拳銃であるM1892リボルバは.32 ACP 弾と同等の威力を持つ 8mmフランス軍用弾を使用している。
 M1892リボルバのスペックは下記のとおりだ。
全長: 240mm
重量: 850g
弾薬: 8mmフランス軍用弾
作動方式: シングル・ダブルアクション
装弾数: 6発

 このM1892リボルバの後続モデルとなったのが、シャルル・ペッターによって設計されたPAM 1935A(=Pistolet automatique modèle 1935A =M1935A)である。

・・・続く